ギャンブル依存症は、競馬やパチンコなどの賭け事にハマり込み、それらを連想させるものを見るだけでギャンブルをしたいという強い欲求に襲われる病気です。依存症は、「ほんの軽い気持ち」から始まります。そのうち、心地よさ、解放感、高揚感がくせになり、いつしか習慣になってしまいます。ギャンブルを我慢していると不快な症状が出ることもあり、自分だけでなく家族の生活まで破綻してしまうことがあります。なお、依存症という用語はWHOが提唱したもので、「ある快感を覚えた特定の物事を繰り返し行うことで、かえって刺激を欲しくなり、ほかのことに優先してその物事をしたくない、しないことが苦痛に感じる」ということになります。
1970年代後半にWHOにおいて「病的賭博」という名称で正式に病気として認められました。
症状:
- ギャンブルにのめり込む
- 興奮を求めて掛金が増えていく
- ギャンブルを減らそう、やめようとしてもうまくいかない
- ギャンブルをしないと落ち着かない
- 負けたお金をギャンブルで取り返そうとする
- ギャンブルのことで嘘をついたり借金したりする
原因:
ギャンブル依存症の発症には、本人の性格やライフスタイルも関係していますが、脳の機能異常や幼少期の体験などさまざまな原因が複雑に絡み合っていると考えられています。
対策: ギャンブル依存症の治療では、考え方の偏りを見直したり、金銭管理をはじめとした日常生活を変えたりすることでギャンブルをしたい気持ちを低減させたり、効果的な対処法を身につける認知行動療法と呼ばれる治療プログラムが有効です。また、ギャンブラーズ・アノニマス(GA)というギャンブル依存症の人達の自助グループが全国にあり、GAミーティングに参加することも病気からの回復の助けになります。
なお、適切な治療を行えば社会復帰できます4。しかし、病気が進行しているほど社会復帰は難しくなるため、早期発見が重要です。
どうすれば家族や友人がギャンブル依存症になっていることを知ることができますか?
ギャンブル依存症の人は、以下のような特徴的な行動や症状を示すことがあります:
- ギャンブルにのめり込む: ストレスやイライラのはけ口としてギャンブルをしている。
- ギャンブルが頭から離れない: 四六時中ギャンブルのことが頭を離れない。
- ギャンブルに使う金額が増える: 稼いだお金はほとんどギャンブルに使っている。
- 負けた分を取り返そうとする: 「負けた分を取り返すまでは」と理由(言い訳)をつけてギャンブルに通っている。
- 借金をする: ギャンブル資金を確保するため、生活費をつぎ込んだり、キャッシングなどでお金を借りたりしている。
- 嘘をつく: ギャンブルに使った金額を家族にバレないよう隠したり、またはウソをついたりする。
これらの症状が見られた場合、その人がギャンブル依存症である可能性があります。ただし、これらの症状があるからといって必ずしもギャンブル依存症であるとは限りません。専門家の意見を求めることが重要です。
また、ギャンブル依存症の人を支える家族や友人ができることは以下の通りです:
- お金を貸さない: 安易に肩代わりすると、患者本人がお金の問題に向き合えなくなります。
- 対策を一緒に考える: 今後の対策を家族が一緒になって考える。
- コミュニケーションを取る: ギャンブル依存症の人となるべく多くコミュニケーションを取る。
これらの対策は、ギャンブル依存症の人が問題を認識し、治療を受けるきっかけを作るためのものです。依存症は早期発見が重要であり、適切な治療を行えば社会復帰できます43。専門医療機関や、お住まいの地域(市区町村)の専門相談窓口がありますので、早めの相談を心がけましょう。
日本ではどのくらいの人々がギャンブル依存症ですか?
厚生労働省の調査によると、日本にはギャンブル依存症の疑いがある人は約536万人いると推計されています。これは成人の約5%に当たります1。男性は438万人、女性は98万人となっています1。
また、別の調査では、過去1年間にギャンブル等依存が疑われる者(SOGS 5点以上)の割合は全体で2.2%(男性は3.7%、女性は0.7%)と報告されています。
これらの結果は、ギャンブル依存症が社会問題として認識されるべきであることを示しています。早期発見と適切な治療が重要です。専門医療機関や、お住まいの地域(市区町村)の専門相談窓口がありますので、早めの相談を心がけましょう。
治療法はありますか?
はい、ギャンブル依存症の治療法は存在します。以下にいくつかの治療法をご紹介します:
- 認知行動療法: 賭け事に対する不健康で不合理な考え方や、人生に対する後ろ向きな考え方を明確化させ、それを健康的・合理的・前向きな考え方に置き換えていく治療法。
- 行動療法: ギャンブル依存に至る問題行動を明確化し、自覚した上で、ギャンブル衝動を抑制する技術を学ぶ治療法。
- 内観療法: 研修所などに1週間程度こもって、自分の身近な人との関係を「お世話になったこと」「世話をしてあげたこと」「迷惑をかけたこと」の3点にしぼって想起し、カウンセラーとの面談を経ながら自己中心性を自覚し、社会生活の改善につなげていく治療法。
- アンガーマネジメントプログラム: 対人関係でのイライラや怒りなどの気持ちを制御する方法を学ぶ治療法。
- 条件反射制御法: 「やめなければとわかっていてもやってしまう」という欲求を抑制する方法を学ぶプログラム。
- 欲求充足法: ギャンブルに代わる趣味や習慣を身につけることで、ギャンブル依存度を減らしていく方法。
これらの治療法は、専門の医療機関で提供されています。また、ギャンブル依存症の治療には家族の関わりも重要であり、家族が関わり方を変化させることでギャンブル依存症が改善しやすくなるケースも多いです。
治療の費用は、
病的賭博などの診断名がつく場合は基本的に保険が適用され、3割負担で治療が受けられます2。初診時にかかる費用は初診料や検査費などを含め、おおよそ2000〜6000円程度です2。もし施設での入院が必要になった場合は、月に16〜20万円程度必要になるのが一般的です(3割負担の場合)。
また、ギャンブル依存症の治療法として、自助グループである「ギャンブラーズ・アノニマス(GA)」なども存在します。これらのグループは無料で参加可能で、同じ依存症の問題を抱えた人たちが当事者の意思で結びついた集団で、グループメンバーと体験を共有することを通じて、自分自身の問題を直視し、変化させていくことを目的としています。
これらの治療法は、ギャンブル依存症の人が問題を認識し、治療を受けるきっかけを作るためのものです。依存症は早期発見が重要であり、適切な治療を行えば社会復帰できます。専門医療機関や、お住まいの地域(市区町村)の専門相談窓口がありますので、早めの相談を心がけましょう。