スポーツドリンクや経口補水液のがぶ飲みは “禁物” 危険な暑さの “身近な落とし穴”
この時期、出勤するだけで汗びっしょりになる人もいるだろう。この暑さはしばらく続くので、熱中症対策をおさらいしておきたい。
道行く人に話を聞くと、「通勤に30~40分かかるので、その間にたくさん汗をかく。オフィスで乾かす」汗が噴き出るような蒸し暑さなので、水分補給を欠かさないようにしている」と話していた。
東京都心では日中30℃を超え、今年一番の暑さとなった(※東京都心の最高気温33.8℃)。最高気温は7月5日まで連日30℃を超える予想となっている。
週間予報(最高気温)
7月1日(土) 31°C
7月2日(日) 32°C
7月3日(月) 31°C
7月4日(火) 31°C
7月5日(水) 31°C
7月6日(木) 31°C
この暑さで熱中症による救急搬送が相次いでいる。東京消防庁管内では、6月28日に36人が搬送された。重症者はいなかったが、32.3℃という高温と62%という高湿度が関係したものと思われる。
〇経口補水液: 飲み方に注意。
〇放置しないこと!炎天下で発火する。
以上、2点について詳しくレポートする。
いいこと? 適量」に注意必要
熱中症予防のための飲料として、水やお茶のほかにスポーツドリンクや経口補水液などをよく飲まれる方も多いと思います。
農林水産省によると、「スポーツドリンク」とは、糖分とナトリウムやマグネシウムなどのミネラルを含む清涼飲料水のこと。発汗によって失われた水分と塩分を同時に補給できるだけでなく、糖分も含まれているため、運動中や作業中の摂取に適している。
一方、経口補水液は、水にナトリウムなどのミネラルとブドウ糖を一定の割合で配合した飲料。体液とほぼ同じ浸透圧のため吸収率が高く、吸収速度も速いことから「飲む点滴」とも呼ばれている。
一見、どちらも体によさそうな飲料だが、実は注意が必要だ。そのひとつが「大量に飲むのはNG」。
スポーツドリンクの中には、500ミリリットルのペットボトルに30グラム以上、角砂糖約10個分の糖分が含まれているものもある。必要以上に適量以上の糖分をがぶ飲みし続けると、糖分の過剰摂取による肥満や虫歯の原因になる。ポイントは「飲むな」ということではなく、「必要なときに適量を飲む」ということである。
一方、経口補水液はスポーツドリンクに比べて糖分は少ないが、塩分は多い。そのため、一度に大量に飲むとナトリウムの過剰摂取になり、健康を害する可能性がある。
中でも腎臓病や心臓病の人は要注意だ。
飲み方のポイントは「ゆっくりちびちび」。
救急医療を専門とする日本体育大学大学院の横田裕之教授に、それ以外の人はどのように飲み方に気をつければいいのか聞いた。
まず気をつけなければならないのは、経口補水液はあくまで脱水を改善するためのものだということ。つまり、通常の水分補給と同じように、体内への吸収が早いからといって経口補水液を選ぶのは間違いである。経口補水液のメーカーのラベルには、「水やお茶とは異なる」「脱水状態のときのみ服用すること」と記載されている。
経口補水液は、胃腸炎など「脱水症状」と医師が診断した場合に勧められる。横田医師によると、炎天下で仕事や運動をして汗を大量にかいた後は脱水状態といえるので、飲むのが適切な対応だという。
飲み方はゆっくり、少しずつ。のどが渇いたと感じる程度の量でよい。特に子供の場合は、体重に応じた目安量があるので、保護者はラベルの注意書きを確認すること。
デスクワークなどの日常生活では、麦茶や水を少し飲む程度で十分な水分補給になるそうだ。
モバイルバッテリーを放置すると、暑さで「発火」する恐れがある。
暑い日の注意点は他にもある。
2つめのポイントが「放置NG! 炎天下で発火」です。
NITE(製品評価技術基盤機構)は、スマートフォンなどの充電に使ったモバイルバッテリーを炎天下の車内に置いたときの様子を動画で公開している。モバイルバッテリーは時間の経過とともに徐々に変形し始め、やがて白煙を上げて爆発。モバイルバッテリーは炎に包まれた。
NITEによると、モバイルバッテリーやスマートフォンなどリチウムイオン電池を使用した製品は、熱による異常反応で破裂・発火する可能性があるという。
実際に事故も起きている。昨年10月、兵庫県で駐車場に停めた車内に放置していたモバイルバッテリーに引火し、シートが燃える事故が起きた。事故当時、気温は30度だった。
リチウムイオン電池はノートパソコンやタブレット端末にも使われている。炎天下の車内など、高温になる場所に放置しないでください。夏休み中の旅行では、リチウムイオン電池を持ち出す機会が増えるので注意が必要だ。
6月末に急に気温が上がってきました。暑さに慣れていない体は、その変化についていけません。自分の体調とともに、「今まで大丈夫だった」と思わず、暑さによる危険な変化に注意することが大切です。
(2023年6月29日午後4時半ごろ放送 news every.「知りたいッ!」より)