熱中症とは、高温多湿な環境下で、体内の水分や塩分(ナトリウムなど)のバランスが
崩れたり、体内の調整機能が壊れるなどして発症する障害のことをいいます。
熱中症は、このように気温と湿度が、大きく関係しています。
梅雨明け後、2~3週間の間に熱中症による救急搬送が急増します。
熱中症は炎天下での運動などで発症しやすいことが知られていますが、高齢者が熱帯夜に
エアコンを使用せずに寝ているうちに発症することもあります。
高齢になると気温を感じとる機能が低下するため、自分の感覚では暑くないと感じていても
実際には熱中症になり得るような気温の中で過ごしていることがあります。
したがって、暑さを体感で判断するのではなく温度計の数値を基準に判断します。
基本的に酷暑になる時は、日中の外出を控えて、
室内では扇風機とエアコンを活用しましょう。
熱中症予防のための新たな情報発信「熱中症警戒アラート」
これまで、気象庁の高温注意情報や環境省の暑さ指数(WBGT)等によって国民に注意を
呼びかけてきましたが、 令和2年度からは、環境省と気象庁が連携して、
より効果的な予防行動へ繋げるための新たな情報提供を検討し、実施することになりました。
健やかに夏を乗り越えるための生活の知恵をお知らせします。
身体の冷却作用は汗です。
体内の温度が上がると、身体を冷やそうと自律神経が働き、
発汗が促されます。
汗が気化するときの気化熱の放熱で、体を冷やしています。
また、鼻も脳への冷却装置の役割を担っています。
しっかり鼻呼吸ができるよう、普段から意識しておきましょう。
おでこを冷やすよりも。首元を冷やします。
おでこには硬い頭蓋骨しかないため。身体を冷やせません。
首元には皮膚の近くに頸動脈という動脈が通っているため、
扇子やうちわや、アイスパックで動脈を冷やすと、
冷えた血液が脳内を冷やしてくれます。
冷却スプレーや保冷剤は0度を下回るため、凍傷になる可能性が
あるため、氷をビニール袋に入れて冷やすとよいでしょう。
(アイスパックの袋が薬局やダイソーで購入できます。)
手を洗う時。前腕を濡らして洗いましょう。
手指消毒をするとき、手のひらだけでなく、前腕全体を流水や
アルコール消毒することで 橈骨動脈を冷やすことに繋がります。
こまめな手洗いでウイルスと熱中症を予防しましょう。
乾いたタオルよりも、濡れたタオルで汗を拭きましょう。
気温が体温を上回ると、外気温から体の内部へ熱が伝導します。
すると、放熱が追いつかなくなり、体内に熱がこもることになります。
乾いたタオルで汗を拭きとると、汗が揮発するときの放熱の機会を奪うことになるため、
濡れたタオルで汗を拭くことで、放熱作用をより多く行うことが必要になります。
保冷剤を活用しましょう。
外出するときは、ポケットに保冷剤を入れておくことで、
腹部大動脈を冷やす効果があります。
ハンカチ等で包んで体を冷やしながら外出してください。
賢くエアコンを活用しましょう。
就寝時のエアコンは25~28度で、除湿機能を使って、
目覚めまで一定の温度で過ごしてください。
タイマー機能で朝方に切ると、自律神経が体温調整のために働き、
良眠できなくなります。
布団の中は33度ぐらいが良いとされます。
エアコンの除湿機能は、温度と湿度を下げます。
冷房は温度を下げます。
機能の違いを知って賢く利用しましょう。
ふくらはぎは守りましょう。
就寝時、靴下は履かないでレッグウォーマーを活用しましょう。
ふくらはぎが冷えると血流が悪化して冷え性になったり、
こむら返り(筋痙攣)がおきます。
足裏は放熱作用があるため、靴下は履かない方が良いです。
外出時は帽子よりも日傘が有効です。
熱中症対策で帽子をかぶりますが、襟を立てて首を温めないよう
にしましょう。
帽子よりも日傘の方が、上半身を陰に入れることができるため、
体感温度が2~ 3度低く、涼しく感じることができます。
マスクを外す時間を取りましょう。
周りに人がいない時は、マスクを外して、鼻呼吸を行ない顔を
冷やすように心掛けて心がけてください。
こんなときは水分補給および塩分補給を行ないます。
熱中症を疑った場合の応急処置法
熱中症の前兆として、ふらふらする、顔が火照る、なんとなく体がだるいといった症状が
挙げられます。
これらの症状は熱中症以外のめまいや立ちくらみ、倦怠感けんたいかんと区別をつけることは
困難です。
そのため、気温が高い日や運動中などにこのような症状を感じたら熱中症を疑い、
涼しい場所で休みながら水分補給をしましょう。
熱中症の諸症状が出た場合でも、意識障害がなければひとまず涼しいところに行って体を
冷やし、水分補給をするなどの応急処置を実施しましょう。
応急処置を継続することで症状が和らぎ、通常どおりに活動できるようになれば軽症の
熱中症と考えられるため、医療機関を受診する必要はありません。
ただし、応急処置を続けても症状が回復しなかったり、体温が下がらなかったりする場合には
中等症~重症の熱中症を疑い、医療機関を受診しましょう。
なお、意識障害が出ている場合には重症の熱中症が疑われるため、直ちに救急車を
呼びましょう。
意識障害とは意識を失った場合のみを指すのではなく、もうろうとした状態で会話が成立
しなくなる、真っすぐ歩けないといったような症状が出ている場合も含みます。
また、救急車を待つ間にも体を冷やすなどして体温を下げるように処置を続けましょう。