
100歳以上の高齢者が初めて10万人を突破。人口推移や県別ランキング、日本一と最下位の地域差、長寿者の免疫細胞まで詳しく解説します。
全国の100歳以上の高齢者が、ついに10万人を超えました。厚生労働省が毎年発表している集計によると、2026年9月15日時点で全国の100歳以上の高齢者は10万7677人となり、調査開始以来初めて10万人の大台を突破しました。1963年にはわずか153人だったことを考えると、日本の長寿化が大きく進んだことが分かります。
一方で、100歳以上の高齢者が全国どこにでも同じように増えているわけではありません。人口10万人あたりの人数を県別に見ると、島根県が日本一となる一方、埼玉県は最下位となるなど、地域によって大きな差があります。また、100歳以上の高齢者は女性が約9割を占めており、男女差も際立っています。
さらに近年は、長寿者の体内にある免疫細胞にも注目が集まっています。100歳を超える人に特徴的な免疫の仕組みが確認された研究もあり、「なぜ人は100歳まで生きられるのか」という疑問を科学的に探る研究が進められています。
この記事では、100歳以上の人口推移を振り返りながら、県別の長寿者数、日本一と最下位の地域、世界との比較、さらに長寿者の免疫細胞について分かりやすく解説します。
100歳以上の高齢者はなぜ10万人を超えた?
2026年9月15日に公表された厚生労働省の集計によると、全国の100歳以上の高齢者は10万7677人となり、調査が始まった1963年以降で初めて10万人を超えました。前年から7914人増え、56年連続で過去最多を更新しています。1963年には153人だったため、半世紀余りで100歳以上の人口が大幅に増えたことになります。
男女別では、女性が9万4298人、男性が1万3379人。100歳以上の高齢者の約9割を女性が占めています。これは、平均寿命に男女差があることなどが背景にあります。日本では長期的に女性の平均寿命が男性を上回っており、非常に高い年齢まで生きる人の中でも女性の割合が高くなっています。
また、医療技術の進歩や生活環境の改善、健康への意識が高まったことなども、長寿化を支えてきた要因として挙げられます。100歳以上の人口は2012年に5万人を突破して以降も増加を続け、今回ついに10万人の大台に到達しました。
ただし、100歳以上の人が増えていることは、必ずしも「誰もが100歳まで健康に暮らせるようになった」という意味ではありません。長寿化を考える際には、単純な寿命だけでなく、健康寿命や介護の状況なども合わせて見る必要があります。
100歳以上が多い県はどこ?日本一と最下位を比較
100歳以上の高齢者を都道府県別に見ると、地域によって大きな違いがあります。単純な人数ではなく、各都道府県の人口10万人あたりの人数で比較すると、2026年は島根県が186.65人で14年連続の1位となりました。続いて高知県が169.52人、鳥取県が152.48人となっています。全国平均は87.51人で、島根県は全国平均の2倍を超える水準です。
一方、最も少なかったのは埼玉県で51.27人。埼玉県は37年連続で最少となっています。愛知県は57.79人、大阪府は60.06人で、人口規模の大きな都市部では人口10万人あたりの100歳以上の高齢者が少ない傾向が見られます。
ただし、「埼玉県に長寿者が少ない」と単純に考えるのは適切ではありません。今回の指標はあくまで「人口10万人あたり」の人数です。たとえば東京都や大阪府のように人口そのものが多い地域では、100歳以上の高齢者の実数が多くても、人口全体に占める割合では低くなる場合があります。
また、島根県など地方では高齢化率そのものが高いことも、100歳以上の人口割合に影響します。つまり、県別ランキングを見る際には「100歳以上の人数」と「人口10万人あたりの人数」を分けて考えることが重要です。数字の順位だけを見るのではなく、それぞれの地域の人口構成まで含めて見ることで、日本の長寿化の実態がより分かりやすくなります。
100歳以上の人口推移から見る日本の長寿化
日本の100歳以上の高齢者は、長い時間をかけて増え続けてきました。厚生労働省によると、1963年に全国で153人だった100歳以上の高齢者は、1981年に1,000人を超え、1998年には1万人を突破。2009年には4万人を超え、2012年には5万1,376人となりました。そして2026年には10万7,677人に達し、初めて10万人の大台を突破しています。
特に注目したいのが、5万人を突破した2012年から10万人を超えるまでの変化です。わずか14年ほどの間に、100歳以上の人口は約2倍になりました。2025年には9万9,763人だったため、1年間で7,914人増加したことになります。
こうした長寿化の背景について、厚生労働省は、生活環境や食生活・栄養状態の改善、医療技術の進歩などを要因として挙げています。つまり、100歳以上の人口推移は、単に高齢者が増えたというだけではなく、日本人の生活や医療環境が長い年月をかけて変化してきた結果ともいえます。
一方で、日本は人口減少も進んでいます。今後は「100歳以上の人が何人いるか」だけでなく、総人口に占める割合や地域ごとの違い、健康寿命との関係を見ることが重要になります。長寿者が増え続ける日本で、次に注目されるのは「何歳まで生きるか」だけでなく、「どのように長く健康に暮らすか」という点でしょう。
100歳以上の人に多い「珍しい免疫細胞」とは?
100歳以上の高齢者が増えるなか、長寿を支える体の仕組みについても研究が進んでいます。特に注目されているのが「CD4陽性キラーT細胞」と呼ばれる、比較的珍しい免疫細胞です。通常、CD4陽性T細胞は免疫反応を助ける役割を担いますが、この細胞はCD4陽性でありながら、がん細胞や異常な細胞などを直接攻撃する能力を持っています。
2026年に大阪大学、慶應義塾大学、理化学研究所などの研究グループが発表した研究では、100歳以上の長寿者を含むデータを解析した結果、CD4陽性キラーT細胞は90歳代までは低い割合にとどまり、100歳代以降で増加する傾向が確認されました。さらに、増加した細胞には疲弊した状態を示さない特徴があり、一部のT細胞受容体は、がん組織で増加するT細胞と共通していました。
こうした結果から、研究グループは、超高齢期には加齢によって生じやすくなる異常細胞などに対応するため、T細胞の免疫システムが再編成されている可能性を示しています。ただし、「この免疫細胞が多いから100歳まで生きられる」と因果関係が証明されたわけではありません。研究対象の人数や解析方法にも限界があり、長寿と免疫の関係をさらに明らかにする研究が必要です。
つまり、この研究が示しているのは「100歳を超える人の体では、免疫機能が単純に衰えているだけではなく、年齢に応じて特徴的な変化が起きている可能性がある」ということです。100歳以上の人口が10万人を超えた今、長寿の人数だけでなく、その体内で起きている変化にも注目が集まっています。
日本の最高齢者は誰?100歳超えの有名人・著名人
2026年9月現在、日本の国内最高齢者は京都市の岸本ふよさんです。1911年12月20日生まれの114歳で、2026年8月27日に115歳の賀川滋子さんが亡くなったことを受け、国内最高齢者となりました。厚生労働省によると、岸本さんは京都市内の施設で生活し、食事を毎回完食するなど、穏やかに日々を過ごしているとされています。
男性の国内最高齢者は、熊本市の加藤光さんです。1914年5月2日生まれの112歳で、2026年2月8日から男性の国内最高齢者となっています。施設では身の回りのことを自分で行い、部屋で体操を続けるなどして過ごしていると厚労省が公表しています。
一方、「100歳を超える有名人」という切り口では注意が必要です。芸能人や文化人など著名人の中にも長寿を迎えた人物はいますが、現在も存命なのか、何歳なのかという情報は変動します。そのため、「有名人存命」というキーワードで紹介する場合には、記事公開時点で本人や所属先、報道機関など信頼できる情報源を確認する必要があります。
また、国内最高齢者と「歴代最高齢者」は別の概念です。現在の最高齢者は、その時点で存命している人の中で最も年齢が高い人を指します。一方、歴代最高齢者にはすでに亡くなった人物も含まれます。こうした違いを整理することで、「日本一長生きした人」と「現在日本で最も長生きしている人」を混同せずに理解できます。
100歳以上の高齢者が10万人を超えた現在、注目されるのは単なる年齢記録だけではありません。100歳を超えても、それぞれの生活を続けている人々の存在は、日本の長寿化がどこまで進んでいるのかを考えるうえで重要なデータになっています。
100歳以上の人が増える日本で考えたいこと
100歳以上の高齢者が10万人を超えたことは、日本の長寿化を象徴する大きな節目といえます。しかし、長寿社会を考える際には「100歳まで生きる人が増えた」という人数だけで判断するのではなく、健康寿命や介護の状況にも目を向ける必要があります。
また、県別のデータからは、100歳以上の高齢者が人口10万人あたりで多い地域と少ない地域に大きな差があることも分かります。島根県のように高い水準にある地域がある一方、埼玉県などでは全国平均を下回っています。ただし、この差には年齢構成や人口移動、地域の医療・介護環境など複数の要因が関係するため、単純に「この県だから長生きできる」と結論づけることはできません。
さらに、長寿者の免疫機能に関する研究が進んでいることも注目されます。100歳を超える人に特徴的な免疫細胞の増加が確認された研究は、超高齢期の体内でどのような変化が起きているのかを理解する手がかりになります。ただし、現時点では特定の免疫細胞だけで長寿の理由を説明することはできません。
100歳以上の人口が10万人を超えた今、日本の長寿化は新しい段階に入っています。これからは「どれだけ長く生きるか」だけでなく、「どのような生活を送りながら長く生きるのか」という視点が、ますます重要になっていくでしょう。
まとめ|100歳以上10万人時代から見える日本の未来
2026年、日本の100歳以上の高齢者は10万7677人となり、厚生労働省が統計を開始して以来、初めて10万人を超えました。1963年には153人だったことから、日本の長寿化が長い期間にわたって進んできたことが分かります。また、100歳以上の高齢者の約9割を女性が占めるという特徴も明らかになっています。
都道府県別では、人口10万人あたりの100歳以上の高齢者数が最も多いのは島根県で、14年連続で日本一となりました。一方、最も少ないのは埼玉県で37年連続の最少です。ただし、こうした差は年齢構成や人口規模などにも左右されるため、数字だけで各地域の長寿を評価することはできません。
さらに、100歳以上の人口が増える一方で、長寿者の体内にある免疫細胞についても研究が進んでいます。100歳を超える人に特徴的なT細胞が確認された研究は、長寿と免疫の関係を解明する手がかりとして注目されています。
100歳以上の高齢者が10万人を超えたことは、日本の人口構造が大きく変化していることを示す一つの指標です。これからは、単に「100歳以上の人口が何人いるか」だけではなく、健康寿命、地域差、医療や介護、そして長寿を支える身体の仕組みまで含めて考えることが重要になりそうです。


