多くの猫が腎臓病によって命を落としています。
そんな治せなかった病気の治療につながるある物質を宮嵜先生は発見されました。
猫だけではなく、わたくしたちヒトの体にも存在し、健康を守ってくれるタンパク質AIM
とは?
夢のような薬が開発間近です。「猫が30歳まで生きる日 治せなかった病気に打ち勝つ
タンパク質AIMの発見」こちらの著者でもいらっしゃいます。
東京大学大学院医学系研究科教授の宮崎徹さんです。
今もう日本中大変な猫ブームでもありますけれども、実は人間にとってとても重要な
薬の開発の話に、この猫ちゃんからスタートしたということなんですね。
猫の平均寿命というのはどれくらいなんでしょうか?。
いろんな獣医師の先生方とお話ししますと、だいたい15歳ぐらいから 長いものでも20歳
ぐらいというふうになっていると思います。
どうしても飼い主より先に旅立つというのは猫を飼ってらっしゃる方、
動物飼ってらっしゃる方の宿命でもあるんですけれど。
多くの猫は同じような病にかかるっていうのは これどういったことなんでしょうか?
私も実は人の医師なので、猫のことをよく存じ上げなかったんですけど、
こういう研究はじめまして、いろんな獣医の先生とお話ししますと とにかくその猫は
ほとんどほとんど全員腎臓病になってしまうと、その多くがその腎不全でなくなって
しまうというふうにお聞きしております。
あのガンとかでなくなる猫もいるんですけれども、そういう猫もが亡くなる時は、
もうすでに腎臓が相当悪くなっているというふうに、お聞きしまして、全員ほとんど
全員の猫がもう腎臓が悪くなってそれでなくなってしまうということです。
腎臓という臓器の持つ働きというのも基礎的なお話なんですが、教えていただけますか?
猫でも人でも一緒なんですけれども、あの体の中に老廃物が溜まって行きますとそれ
おしっこにして、ろ過する臓器ですよね。
あの悪いものだけ。尿の中に流してろ過してでいいものを残したまま、全身に
また戻して行くと言う そういう非常に重要な臓器ですね。
いわゆる体の中にある毒素みたいなものをろ過して行くという役割なんですね。
先生の見つけたタンパク質。AIMというたんぱく質で作った薬を投与することによって、大変深刻な腎不全の猫はどうなったんですか?
AIMというタンパク質から、猫も私たちを持っているものなんですけれども、猫では
AIMが全く働いていないんですね。
これはあの先天的に働いていないものですので、腎臓の中にゴミが溜まってしまうという
ことになってきます。
ですので、その足りない分のAIMも要するに注射してこう補う そうしますと、当然、
その腎臓の中が綺麗になって、あるいは体のゴミも取れて非常に元気になるということを
目の当たりにしております。
AIMといったタンパク質、これはどんなものなのか教えてください。
もともと私20年ぐらい前に発見したものなんですけれども。私たちも猫も犬も全部の
動物が血液の中にたくさん持っておりましてで、体の中にまあいろんなゴミが日々
溜まっていくんですね。
その最後の、例えば死骸であるとか、あるいはそのなんでしょう。
アルツハイマー病でしたら1番典型的ですけど、ベータアミロイドっていうゴミが脳の中に
溜まっていきますし。
その他にも先ほどおっしゃっていただいたような尿毒素ですね。
いろんなタイプの毒素が血液とか内臓の中に溜まっていきます。
それを感知したAIMがゴミのところに行ってベタベタと貼り付いてですね。
ここにゴミがあると体の中で物を食べる細胞に教えるんですね。
そうしますとその物を食べる際は、私たちの中の体の中にあるものものを食べる細胞AIM
がゴミを全部、食べて処理してくれる。そういうわけで、私たちの体というのは、
いつもその元気になった 健康でいられるという、そういうところになっている。
非常に重要なタンパク質ですね。
はい。そういう体のこう良いサイクルを造る 初めに働いてくれるものだと考えたらいい
んですかね。
あのゴミがたまってくると、いろんなところに炎症が起きたりとか、色々悪い臓器が
こう痛んできたりして、まあ、そのどういうゴミがどこの臓器にたまるかによります
けれども いろんなタイプの病気になってしまって、それを未然に防いでいるのが、
私たちの体の中にあるAIMというタンパク質ですね。
AIMは猫にはないんですか?
これはですね、大変面白いんですけど、猫も持ってはいるんです。
入ってはいるんですけれども、全く働けないようになってしまっているということです。
持っているのに使われないっていう存在が体の中にあるんですね。
本当に体ってうまくできてましてですね。こういうこのゴミがどこに出るかわからない
ような状況ですので、ゴミが出たらすぐそれを掃除できるようにAIMというのはたくさん
そのもう体の中に作っておいて、それでちょっとたとえて言いますと その大きな
航空母艦の上にAIMという戦闘機が乗っかってパトロールしているような状態ですね。
あのゴミがたまってきますと本当に敵を見つけた戦闘機のように、その航空母艦から
飛び上がってゴミを処理するという。
そういうすごくあのうまい仕組みになっているんですが、猫ではその戦闘機になれない
もあるんですけれども、その航空母艦からうまく飛び立てないんですね。
なので持っているんですけれども、使えない宝の持ち腐れ状態になっています。
だからこう同じような、病気にかかってしまうということを見つけたと言うことですね。
ということはあるのに使われた、いないものをどうにか使えたら、猫の寿命っていうのは
どんどん伸びていくことになりそうですね。
そうですね。あのやっぱり猫の寿命を1番決定しているのが、今、腎臓病だと思うんです
ね。
腎臓病さえ起こらなければ、あるいはそのひどくならなければですね かなり長生きする
はずなので、ある意味その腎臓病をAIMで直すことによって予防することによって
非常に長生きさせることは可能であると思います。
その治療方法というのは現状今どれくらいのところまで来てるんですか?
結局、その働いていないAIMを作って、あの猫の体に戻すだけの非常にシンプルで
ストレートなご治療法ですよね。
あの治療法としては本当にストレートなもので、でも結局その薬にするというのは、
すごい時間が実はかかってしまいまして、耳にしたこともあるかもしれませんが、
臨床試験とか治験とかですね。
それを作るのに非常に時間がかかるんです。その私たち4,5年前からずっと実はやって
おりまして、はいでも去年の春先の段階で、もう治験間近というところまで入っていたんですね。
ですので、ここからの段階ですと、そんなにあのもう本当に2年かからないぐらいで、
完成できるというところまでは実は進んででいたという状況です。
そうなんですね。もうあと1歩のところまでという感じがしてきますよね。
人間はそれをしっかりこのAIMというのを体内に持っているんでっすよね
このAIMによる薬を人間に投与するということですね。
これはもしその投与をしたら?どういう体に成っていくと考えられるんでしょうか?
そうですね。あのね、この場合っての1番深刻なのは、やっぱり腎臓病ですよね。
この場合はもうAIMが全く働いていないので、それをたくさん足してあげて、腎臓に
ゴミが溜まる以上に、体の中にあるようになれば、腎臓を悪くならないということになり
ます。
人でも全く同じなんですけど、ただ、そのゴミというのは別に腎臓にだけ出てくるわけ
ではありません。
例えば肝臓であるとか、あるいは脳の中であるとか、いろんなところにいろんなタイプの
ゴミが溜まっていきます。
そういうものを実はAIMというのは非常に広範囲のゴミを掃除することができる。
ということがどんどんわかってきておりますので、そういう意味ではAIMをお注射して
あげると、腎臓病のみならず 人で言いますと、いろんなタイプの病気を治療、
あるいは予防することができるんだろうなと思っております。
今週は東京大学大学院医学系研究科教授の宮崎徹さんに、お話を伺いました。
どうもありがとうございました。