4月が定期健康診断の時期という会社も多いと思いますが、お酒が好きな人にとっては、気が進まないものかもしれません。
一部の人は、健診前に「にわか禁酒」で数値改善を図ったりするようですが、ネット上では「健診前だけ禁酒しても意味がないのでは?」「いつも通りの状態で受けるべきだ」という声もあります。
Q&A
質問者は、 40代女性ゆきみさん(仮名)です。
私は、介護の仕事をしています。
仕事帰りに買い物をして家に帰ってからも掃除、洗濯、食事の用意でくたくたになり 夕食でほっと一息 同棲中の猫を相手に毎日晩酌をやってます。
これが私のストレス解消で お酒はやめられません。
健康診断が近づくと肝臓の数値 γ-GTPが気になり にわか禁酒をしてますが、そろそろやばいかも これってあり、ダメでしょうか?
休肝日は、作ったほうがいいのでしょうか?
識者A:
一時的に下げて健康診断を正常値にする意味がありますか?
次の健康診断まで飲むんでしょ。
正常値=肝臓が良い、ではありません。
正常値=普通の生活で壊れる肝細胞や酵素。
に、なるだけ。
例えば肝臓を消しゴムで考えてください。
使えばカスが出る。(壊れる細胞)
毎日、酷使すればカスは大量に出て本体の消しゴムは小さくなります。
使うのを普通にすれば(健康診断前に酒を止める)カスは普通に使う人と同じになりますが、本体の消しゴムの大きさはどうなってますか?
止められないのは病気。
専門病院に行きましょう。
識者B:
肝臓の数値が悪くなるまで飲むのは飲み過ぎです
限界は飲めば飲む程上がっていきます
そうすると処理しきれない量を飲めるようになってしまいます
人と比べての量ではなく、あなたの処理能力を越えて飲んでしまっているんです
なので1度リセットする為に1ヶ月程断酒して下さい
そこから週に2日のペースにして下さい
それが辛いなら飲まない方がメンタル的にも良くなります
要するにアルコール依存性なので断酒した方が精神的にも良いですよ
それでも飲んだ方が良いと言うなら好きにするのが人生です。
識者C:
休肝日という考え方は必要ありません。
週1〜2日だけ飲まない日を作っても、その日以外にガブ飲みしていたら、何の意味もないからです。
現在は1週間単位で純アルコール摂取量を管理するのが、専門家の間では主流になっています。
成人男子なら一日の純アルコール摂取量の適量は20g、許容量は40g。25度の焼酎ならコップ一杯(100ml)、ビールの中瓶なら2本が限度だ。
1週間で考えると、140〜280gに収めればいいことになる。
適量のアルコールを摂取する人のほうが、お酒を飲まない人よりも死亡率が低いというデータもあります。
お酒選びで避けたいのは、多量の糖質を含んだフルーツのサワーだ。
果汁に含まれる果糖は体内での吸収が速いため、脂肪がたまりやすく、肝臓に大きなダメージを与えます。
医師の目から見て:
「にわか禁酒」「にわかダイエット」は避けた方がよいのでしょうか。
内科医の市原由美江さんに聞きました。
普段から節制を
Q.飲酒習慣によって、健康診断で数値が悪くなる項目を教えてください。
体のどういう問題点が分かるのでしょうか。
市原さん「飲酒習慣が数値に関係するのは、AST(GOT)、ALT(GPT)、γ(ガンマ)-GTP、尿酸、中性脂肪です。AST(GOT)、ALT(GPT) 、γ-GTPは肝機能の検査で、肝臓がどれだけダメージを受けているかの指標になります。
尿酸値が高いと、痛風発作を引き起こす可能性や、腎機能に悪影響を与える可能性があります。
中性脂肪は脂肪肝や肥満の原因となります。
また、脂肪肝は肝臓がんのリスク因子でもあり、血糖値を上げる原因にもなります」
Q.健診前に一定期間禁酒をすると、これらの数値は改善されるのでしょうか。
例えば、1週間程度の場合と1カ月の場合では違いますか。
市原さん「一定期間禁酒をすると、前述のどの項目も改善するのが一般的です。
禁酒する期間で数値が改善する程度は、個人差が大きいので説明しにくいですが、期間が長いほど、1週間よりは1カ月の方が改善する程度が大きいのは確かです」
Q.健診前に禁酒をして数値改善を図ることは、やめた方がよいのでしょうか。
それとも、健康を保つ方法の一つとしてアリなのでしょうか。
市原さん「『普段のありのままの状態』を知るという意味では、禁酒せずに健康診断を受けるのがいいでしょう。
過去の検査で自分の数値がある程度分かっているのであれば、普段から節酒すべきです。
ただし、一定期間禁酒すること自体は、先述した体の機能、特に肝機能に良いので、健康のため一時的に禁酒するのはアリだと思います。
もっとも、そもそも長期間禁酒できる程度の依存状態であれば、普段から適度な量の飲酒にできるはずですが…」
Q.個人的経験なのですが、健診でγ-GTPの数値が高かった際、保健師から「1カ月禁酒してから再検査を受けてください」と言われ、1カ月後に再検査を受けて数値が正常範囲に戻った経験があります。
市原さん「一時的とはいえ、体の負担が軽くなったと考えられます。
また、禁酒によって数値が改善したのであれば、異常値は飲酒の影響であったことが分かります。
もし、禁酒で改善しない場合は別の原因、例えば、胆石などでγ-GTPが上がってるのではないかと考えられるため、別の病気が見つかるきっかけになることがあります」