7月2日深夜に起きたKDDIの通信障害は、3日夜になっても完全回復に至らず、長期的かつ影響範囲の大きいものとなった。
被害対象端末数は、全国で最大約3,915万回線。それがほぼ2日にわたって影響を受けた。
私の契約している端末も、アンテナピクトが立たず、通話もできない状態になった。
携帯電話で通話ができない、特に緊急通報も難しいというのは、インフラとしては非常に危険な状態だ。
通話機能の障害に伴い、SMSも使えなくなった。
ウェブサービスの認証では、SMSを使った多要素認証が採用されることが増えているが、SMSが使えないと、認証ができないのでサービスが使えなくなる。
KDDI自身の回線もそうだが、MVNO回線や、一部エリアでKDDIの回線を使っている楽天モバイルも影響を受けた。
個人だけでなく、企業の使っている端末も同様に影響を受けている。
地方銀行の大垣共立銀行(岐阜県大垣市)では、岐阜、愛知、三重の東海3県などに設置している店舗外の現金自動預払機(ATM)221台のうち190台が利用できなくなった。
気象庁では、地域気象観測システム(アメダス)の全国各地にある観測点から気温や降水量などのデータを統合処理システムに送る通信に障害が生じ、一部の観測点のデータをホームページで表示できなくなった。
同庁によると、全国約1300カ所の観測点のうち、約900カ所がKDDIの通信回線を利用する。
このうち約500カ所で断続的に通信障害が起きた。
運輸業界にも影響が広がった。
宅配大手ヤマト運輸のホームページ上では、荷物の最新の配送情報が更新されなくなった。
日本郵便は、通信障害に伴う貨物列車の遅延で、ゆうパックなど一部の配送が遅れる可能性があると発表した。
日本航空は、成田空港や羽田空港などでスタッフ用の無線機が使用できなくなり、他社の回線を使う無線機に切り替えて対応した。
首都圏の小田急バスなど複数のバス会社では、バスの位置を確認できるサービスに支障が出た。
宅配業者や空港係員など、スマートフォンや専用端末などを業務に使っている人の業務が滞る結果となったし、主にSMSの不通により、業務用の端末でデータのやり取りができないこともあったという。
宅配や飲食業などさまざまな分野に影響が広がった。
家族や知人と連絡が取れず、公衆電話を探し回った人も。
本格的な復旧のめどが見えない中、不安やいら立ちの声が上がった。
離れて暮らす障がいのある兄と連絡が取れなくなった。
自営業の母親も従業員と不通になり、一緒に車に乗って公衆電話を探し回り、20分かけてスーパーの前で発見。
「ようやく見つけたのに小銭がなく、買い物でお金を崩してようやく電話ができた。
これを機に公衆電話の場所を覚えておかないと」と早い復旧を願った。
KDDIの携帯電話ネットワークはまさに日本を支えるインフラの1つであり、その影響の大きさが改めて明確なものとなった。
今回の通信障害はなぜ起きたのか?
3日11時から開かれた会見は2時間に渡った。
しかし、この時点では完全な復旧には至っていない。
KDDIとしても最優先事項は「復旧」であって、完全な原因究明はそのあとになるから、あくまで「現状でわかっていること」が説明されたに過ぎない。
KDDIは初期、シンプルに「利用しづらい状況が続いている」とだけ公開していた。
ウェブやSNSでの情報発信が中心で、それらのメディアに接するのが難しい人には、なにが起きているのか分かりづらかっただろうと思う。
auショップの対応も色々だ。
7月2日夕方、東京都内のauショップ店頭をチェックすると、手書きで「システム障害」「復旧未定」の張り紙がされていた。
彼らの元にも、詳しい情報が降りてきていたわけではないようだ。
振り返ると、KDDIだけでなく、ソフトバンクとNTTドコモも大規模な通信障害を起こしている。
2018年12月にはソフトバンクが約4時間半、2021年10月にはドコモが約12時間にわたって全国で通信障害を発生させた。
約4年半で3件もの大規模な通信障害が起きており、もはや「万が一」と言えない頻度になっている。
大規模通信障害について、5日の閣議後会見で各大臣から厳しい声が上がった。
影響は金融や医療など様々な分野に及んでおり、損害賠償への言及もあった。
代替の通信手段を確保の必要性
今回のように通信障害が1日や2日も続くとなると、日常生活に大きな支障をきたす。
ユーザーとしては、自分が使っている回線が通信障害に遭遇したとしても、代替の通信手段を確保する、あるいはダメージを最小限に抑えるよう対策を講じておく必要がある。
【公衆電話の使い方】
1 受話器を上げる
2 お金かテレホンカードを入れる(※110番などの場合は不要)
3 ダイヤルする
普段使わないということで、先にお金やテレホンカードを入れてしまう方が多かったようです。
ちなみに公衆電話はどこに設置してあるかというのを皆さん把握していらっしゃるでしょうか?
NTT東日本のホームページには「公衆電話設置場所検索」という最新の設置場所が検索できるページがあります。
近年減少傾向にあるので、困ったときはこれを見てみるといいかもしれません。
こういう事故が嫌ならば、複数回線持つしかないね。
ネットだけで良ければ、ルーター確保、通話もしたければ、他社キャリア。
それでも不安ならば固定電話、それがリスク管理というものです。