シュポッと一吹き時速100キロ シニア世代がのめり込む「吹き矢」

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島袋太輔撮影

 

 

両手で筒を構え、矢を吹く人たち=東京都江東区で2023年3月7日午前10時54分、

 構えた筒に息を吹き込んで矢を飛ばす「吹き矢」は、古くから狩猟の道具や武器として使われてきたとされる。近年は、シニア世代を中心にスポーツとして広がりを見せているという。

 

どんなスポーツで、何がどう楽しいのか。

 「惜しい。もう少し上だった」「よし、真ん中に当たった」。「シュポッ」と矢がウレタン製の的に当たる音が聞こえると、張り詰めた空気が一転し、一喜一憂する声が上がる。3月上旬、東京都江東区で開かれた吹き矢の愛好家団体「ダーツ東陽町支部」の練習。メンバー計15人が約2時間半にわたり、思い思いに吹き矢を楽しんだ。

 使われている道具の規格や競技のルールを決めたのは、ダーツ東陽町支部が加盟する一般社団法人「日本スポーツウエルネス吹矢協会」だ。吹き矢の裾野を広げるため1998年に「日本スポーツ吹矢協会」として設立され、2019年に現在の名称となった。全国1273団体が加盟し、約7万1200人が吹き矢を楽しむ(22年12月時点)。大半がシニア世代だ

 協会によると、矢で射抜く的には半径3〜12センチの四つの同心円が記され、小さな円を射抜くほど得点は高くなる。矢を放つ筒は長さ1〜1・2メートル、重さ140〜500グラム。約20センチの矢は1グラム以下で、人の体に当たってもけがをしづらい作りだ。先端に金属の重りが取り付けられ、筒状のビニールフィルムが巻かれている。

 競技は1ラウンド(3分)につき1人5本ずつ矢を吹き、4〜6ラウンドで得点を競う。的までの距離は5〜10メートルから選べる。コツをつかむと、体格や年齢に関わりなく、時速100キロほどの矢を放つことができる。技量に応じて12の級・段位を得られる。

 吹き矢を勢いよく飛ばすためには、おなかを膨らませて息を吸い、へこませて吐く「腹式呼吸」を身に付けることが欠かせないという。

協会担当者は腹式呼吸は、副交感神経を刺激するため。血行が促されますと説明する。

リハビリにも効果があります。

練習に参加している人たちは、楽しみながら体を動かす習慣を身につけられたという。水口さんは、22年9月から本格的に吹矢を始めた。きっかけは高齢者施設で行われたされた講習会。神経を集中させないと矢が曲がって飛んでしまう。気の迷いなど精神的な部分も影響し、奥奥が深いとその面白さに引きつけられた。喘息を患い自宅にこもりがちだったという、だが、吹き矢を始めて何ヶ月かたつと外出するのが楽になった。

16年前に脳梗塞で倒れ左半身は今も麻痺したままという。日野さんは左足に姿勢を安定させる補助具を付けて練習に望む。大会に出場して勝負をする楽しさがある。デイサービスで通ったリハビリ施設は、長続きしなかったが、吹き矢の練習には入れ込んだ。週2〜3 回出席するうちに動かしづらかった左腕の可動範囲が広がった。ダーツ東陽町支部の井上支部長は、級、段位の取得をゲーム感覚で楽しめて上達を実感する。生き甲斐を与えてくれると語った。 

                           毎日新聞記事から

<スポーツウエルネス吹矢> 

5〜10メートル離れた円形の的を目がけ、息を使って矢を放つ。矢が中心部にあたると最大7点。1ラウンド3分以内で5本の矢を吹き、規定のラウンド数で合計点を競う。日本スポーツウエルネス吹矢協会は1998年に設立。会員数は約6万8500人。同協会は吹矢で出る飛沫(ひまつ)を可視化した実験を行い、ユーチューブなどで結果を公開。筒先などから少量の粒子が出るが、拡散はしないとしている。

 

◆スポーツウエルネス吹矢式呼吸法と健康効果

スポーツウエルネス吹矢の最大の特徴は呼吸法にあります。スポーツウエルネス吹矢式呼吸法は胸式呼吸と腹式呼吸の両方を行う呼吸で、呼吸にかかわる筋肉をすべて活用します。息を静かに細く長く吐き、自然に息を吸い、一瞬止めてから的に向かって「短く一気に」吐き出す特有の呼吸がスポーツウエルネス吹矢式呼吸法で、基本動作を行うことによって、この呼吸が自然にできます。

 

スポーツウエルネス吹矢の特徴

腹式呼吸を積極的に使うことによる体調の改善、緊張の緩和。

  • 普段の生活では使わない肺のデッドスペースまで使うことによる肺機能活性化。
  • 標的を狙うスポーツに共通する精神集中力向上とストレス解消。
  • 年齢差、性差、体力差による格差は少なくほぼ対等な競技が可能。
  • 矢の初速は、個人差があるが時速100km/hから150km/h程度。
  • 武道に類する形で、段位・級位の認定制度もある。
  • 必要最低限の自発呼吸が出来れば可能であり、障害者スポーツとしての普及も広がりつつある。
  • 車椅子の障害者などと健常者が共通ルールで競技を行うことができる利点もある。

一般社団法人 日本スポーツウエルネス吹矢協会 (fukiya.net)

 

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