「百年の藍」!ジーンズを通してみた、これは日本の百年の歴史だ。

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増山実さんです。おはようございます。増山さんは放送作家をへて本業作家になって、ずいぶん健筆を振るって、色んな作品を発表していますね。ちょうどね、デビューして十年なんですけど。七作目がこの前でました。ほとんど関西が舞台だそうなんですよ。西宮とかね、はい、尼崎とか宝塚だからかそうなんです。そうですね。はい増山さん、お書きになった最初の勇者たちへの伝言は、松本清張賞の候補になったそうです。そうなんですよ。はい、ちょうど10年前です。

今回は「百年の藍」藍色ですね。

インディゴブルーで百年の藍という作品をお書きになったんできてもらったのですが。岡山県児島のジーンズ工場は見学できるんですか?日本のジーンズ発祥の地へ取材に行きましたね。そして百年の愛という作品が完結したわけです。はい、私もここへ行くまではね。ジーンズといったらこれはアメリカ製のもんやとしか思わなかったとかね。そうです。LEE(リー)とか、Wrangler(ラングラー)とはいアメリカのもんやと思っていました。

国産のジーンズは盛んに作られているわけなんですよね。

ちょうど東京オリンピック前のね。前の東京オリンピックの後ぐらいから、ようやく国産のジーンズが、出だしたんですよ。だからそこは戦後から20年ぐらいたって、ようやくね。日本でも作ろうと。

これを小説にしようと思ったきっかけは何ですか?

日本のジーンズの歴史を追いかけた小説なんですけれども、もともと僕ジーンズが好きでというのはですね。ちょうど僕らが中学高校時代ね、1970年代ぐらいです。僕は高校一年生、その頃は本当にみんながジーンズを履いてた時代でね。中学高校生の頃は、もう街にはどこにでもジーンズショップがありました。かっこよかったですよ。テレビドラマとかでもね、もう盛んにジーパン刑事とかおりましたね。中村雅俊の青春ドラマみたいな、ジーンズ履いてたり。そんな時代ですわ。

でも、普通にもうテレビCMで国産の、あのビッグジョン(BIG JOHN)とかね。ボブソン(bobson)とか、そういう国産のジーンズのメーカーがゴールデンタイムにもCMとかやってましたからね。もうそういう時代です。だからもう本当にジーンズには思い出がもともとあったんですけども、

あの岡山のですね。知り合いの人に2、3年ぐらい前ですかね。増山さん、

日本のジーンズの歴史は面白いですよ。ちょっと調べてみはったらどうですか

っていう風に聞いたんですよ。そしてああ、そうかと思って。まあジーンズ好きやなと思って調べてみたら、本当に、今まではアメリカのもんやと。戦後、日本が戦争に負けて、そしてアメリカの音楽とか食べ物と一緒にこういうファッションも入ってきたと思ってたんですよ。それは増山さん日本が戦争に負けて、アメリカの影響たくさん受けました。そうなんですよ。その中でチューインガムとか、ジャズと、そしてジーンズ。その三つは象徴的にですね。アメリカのものでした。という認識だったんですけど、ところがね、調べてみたらですね。

もっと古くからジーンズは日本に入っていることが分かりまして、

それがちょうど百年前なんですよ。それで関東大震災でちょうど百年前になりました。そのときにアメリカからですね大量の救援物資が来たんですよ。救援物資のいろんな生活に必要な物が入ってますよね。その中に衣類も入ってまして、その中にジーンズが入ってたと。そういうことがわかったんですよ。まあ僕らもね。色々海外にそういう救援物資として古着を送りますよね。そういうような感覚で普段履いてるようなジーンズが救援物資の中に入ってたんで、それを知ってね。これは面白いなあと思って。

当時もう大正時代ですよね。百年前。だから大正時代に初めてジーンズを見た日本人はどう思ったんかなぁと思ってね。今でこそ当たり前にあるけど、当時はね、そんなもんないですから、どんな風に映ったんやろ?これを作ってみようということから筆を起こした。そういうことなんですよ。なぜこの話はあの前半はですね、そういう大正時代から始まって、戦争が終わるまでの、まあ日本人はジーンズなんか知らないでしょ?もうすごい苦労する話が前半なんですけど。

そして後半は戦後になりまして、その彼の思いを受け継いだ人がジーンズを作って、

これがいかにこう日本で広まっていったかという話を後半に書いてるんですよ。初め主人公が空に浮かんだ虹を見るところから始まりますね。浅草から始まって虹を見る。これがね。関東大震災が9月1日だったその前日の8月31日。関東大震災の一日前から物語が始まったんですね。はい。そして今言ったように戦後の物語になっていって、ジーンズが日本に広まっていくんですけど、

これ、日本が日本にジーンズが広まった大きな理由のひとつがね、

映画やったんですよね。ジェームスディーンなんか履いてましたからね。そうです。理由なき反抗。そうです。これがねあの1956年に日本では初めて公開してて、昭和31年です。その時にジェームスディーンが理由なき反抗でジーンズをかっこよく履いていてて、LEEのジーンズ。そうそう。それで一気に日本の若者がですね。あれ、カッコイイってはい。履き出したんですよね。なるほど。そういう歴史がね。おもしろおかしく、手に取るようにわかるのは、この増山さん、お書きになった百年の藍というこの小説なんですよ。

だからリーバイスというのはあれ、若者の個人名ですか?リーバイスは作った人たちの創業者の名前のようですね。たしか、私の記憶ではカリフォルニアそうです。砂金が発見された。だからゴールドラッシュの時代で18、19世紀半ばぐらいから、

もうジーンズはね。ただ、それは作業着としてあったんですよそうですね。

だからいってみたら、炭鉱というか、金鉱でこう働く人たちがやってたから、もう本当に丈夫で、そういうような労働着だったんですよね。そうですね。これがですね。トラックつるしても破れない。そうそうそう売り文句ありまして。これがね、戦後にジェームスディーンみたいな影響があってかっこいい。しかも履き古したやつがかっこいいっていう破れてのがかっこいいって。

実はこういう面白い話があってね。

僕の両親がクリーニング店をやってたんですけれども大阪でねで。父親が昭和六年生まれで母親が昭和九年生まれなんですけど、ちょうどこの理由なき反抗の上映の前後で大阪で独立してクリーニング店を始めたんですよ。そしたらですね。あのクリーニング店にその洗濯物が来てジーンズが今で言うとジーンズが来たらしいんですよ。でも、当時はそんなにまだね、誰も履いている時代じゃないからで、これなんやろうと思って、でもそれは破れてたんです。

はい、そしたら当時クリーニング店というのは、そのちょっとそういうの修繕するようなこともやってたんで破れてるわと思って、綺麗にミシンで縫ってお客さんに返したんですよ。ほんなら無茶苦茶怒られた。破れているのがカッコイイ。これは破れてんのがええんや、えらいお客さんに怒られた笑いながらね。この小説を書いた時の、そういう思い出ですよね。

着古した感じにするため わざと軽石でこすってね。

そうなんですよ。ストーンウォッシュですね。はい、ああいうのもですね。実は。日本のオリジナルのユーズド加工技術なんですよね。そうでしょうね。はい、日本人あんなんが好きなんですよね。

工夫して、なんとか履き古した感じを出そうということで、洗濯機の中に小石を混ぜた。そしたら小石もこう一緒に回るからこすれるじゃないですか。はい。それでああいう味を出すってね、日本人ってホンマにいろいろ考える、そのファッションの血が岡山県児島、そうなんです。

岡山県児島になったのはどういう理由からですか?

はい、これはですね。実はあの地域は昔から繊維業が盛んやったんですよ。というのは、あそこね。埋め立て、干拓地なんですよね。江戸時代ですか?埋め立てですよ。海を、はい。そしてできてる土地なので。あの。お米ができないですよね。はい、というのは塩分が多い。それで綿花を作るようになってそうですか?そこから。あの足袋を作るようになって。

あの明治大正時代で足袋はでももう洋風になって、みんな靴履くようになってダメになるから、学生服を今度はつくるようになって、履くのも丈夫な生地ですからね。そして、戦争の時に軍服を作るようになって、そして戦後。その学生服を作ってたメーカーがジーンズを作るような、そういうね歴史があるんですよ。そこにいきさつが書いてあります。その歴史も書いております。はい、そこもすごく面白いところですよね。はい。

だからま児島の人はなんて言うんですか、何かこう、壁が立ちはだかった時に、それを乗り越えて、その都度、その都度乗り越えてへ行ったっていうねそういうなんですか?物作りの精神と言いますかね。はい。そういうのもこの物語の流れは入っております。はいはい、百年間はでも、その衣類を通じて日本の歴史を見るっていう、そういうことなんですごくめずらしいですよね。

ジーンズを通してみた。これは日本の百年の歴史。

ただ、その中には関東大震災も入ってます。はい。そして太平洋戦争、そしてこの前のあの阪神大震災も、実はこの話には関わってくるんですよね。そういう意味では、この増山さん、お書きになった百年の藍という小説は画期的ですね。そうやと思います。ちょっと今までにない切り口から見た日本の百年の歴史ちょうどね。関東大震災からちょうど百年なのでね。そういう歴史があるのだから、ちょうど今年、いろんなね思いを馳せる年なので、この年にぜひ読んでいただいて、そしてこの物語はですね。そのさっき言ったように、

関東大震災の前日、1923年の8月31日から始まるんですけど、終わるのがこの小説の最後が2023年の9月1日で終わるんですね。この辺りはだから丁度この前ということですよね。はい、そういうのできっちり百年で。まあ、資料集めたり、構想練ったりしてこの作品が生まれるまではどれ位の月日がかかりました。ええとこれが一年近くかかったんですよね。それから児島にはね、何回も足を運んでね。

そしてその人さっき言ったジーンズを日本で初めて作った会社の方々のご子息と関係者の方々が当時の時代の話を聞いてそれを参考に書いたんです。はい、これはね、本当に楽しい。面白い知識が増える以上にね。ジーンズというものを通して日本の歴史の側面を見るという意味でも非常にねいい作品ですよ。これですからね。

この小説を読むとね。ジーンズが履きたくなる、そして愛着が出ると思います。

その通りはい、僕なんか若い頃ね、すごくジーンズを履いてた。むしろアメリカではいそのひとりの若者が。カリフォルニアへ砂金を探しに行くときは、テント担いで行ったそうね。そのテントの生地が丈夫なキャンバス。そうなんです。藍色が虫よけになると。そうなんです。それから始まった。そっちのほうの歴史はね、むしろ知られてるんですよね。

ところが、日本国内においてジーンズ、あるいはデニムの歴史。知ってる人ってほとんどないです。そうなんですね。

そして今またね日本のデニムがね、世界的にすごい人気なんですよ。

海外からね。この前の児島行ったら、ミュージアムとか工場がね、さっきおっしゃったようにあるんですよ。はい、そこにいっぱい外国人の方が来てるんですよ。というのは、外国人にとって日本のジーンズは憧れなんですよ。僕らがアメリカのジーンズに憧れてたように、今外国人が日本のジーンズ憧れです。

面白いなあと思ってね増山さん、これは直木賞ですよ。ありがとうございます。そうなればまた呼んでくださいよ。私はね、ずっと拝見して、そう感じました。そうですか。

百年の藍。これは只今小学館から出版されました。今、税込2200円で全国の書店に並んでおりますんでね。よろしくお願いします。一読して欲しいと思います。 

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