「犬や猫などのペットの世話をすることは、 高齢者の認知症予防や
生存率を高めることに効果があります。」と語るのは、星旦二医師だ。
高齢者20,551名を対象にアンケートを配り二年間の生存追跡調査を
したところペットの世話を「している人」の方が「していない人」に比べて
長生きをしていることが明らかになりました 。
調査では、ペットの世話をしている人の方が「主観的健康感」
「外出頻度」「生活満足感」などの指標で高い数値を示したという。
ただ単にペッドを飼うだけでなく、積極的に世話をすることが重要です。
世話をする人は、犬を散歩に連れ出すなどして自然と
外出頻度が高くなる。
散歩に伴う運動によって、冠動脈疾患や糖尿病などの発生リスクが
低下することも報告されています。
さらに認知症のような個別の疾患についても効果があることが明らかに
なっているという。
ペットを飼っている高齢者は、ペットの鳴き声に注意を向けたり、
ペットに呼びかけてコミュニケーションを取ります。
その結果、日々の活動量や脳への刺激量も多くなり、家でボーっと
テレビを見て過ごす高齢者に比べて、認知症予防の効果が期待できます。
また毎朝餌を与え、散歩に出かけ、トイレシートが減れば買い足すなど
生活にリズムが生まれるので、認知症の初期症状である「見当識障害」
にも有効です 。
認知症の予防だけでなく、治療にも一定の効果があると語るのは、
動物を使った治療法「アニマルセラピー」に詳しい横山章光医師だ。
認知症を発症した患者にも効果的で、記憶障害に伴う不安や焦燥、
興奮、暴力など認知症患者に特有の周辺症状が、ペットと触れ合うことで
緩和される事例もある 。
これによって介護者や家族とのコミュニケーションが
円滑になるんです。
こうした事例は、科学的調査でも効果が示されている。
日本動物病院協会では、福祉施設に動物を伴って訪問する活動を
しています。
訪問先で認知症の人が、犬や猫を膝の上に乗せてなでるだけで、
それまで強張っていた表情に感情が戻り、パッと明るくなる瞬間を
見ることがあります。
また寝たきりで全く言葉を発しなかった人も「この子は何と言う
名前?」「ご飯は食べたの?」と聞くなど次第に口数が増え、
昔飼っていたペットを思い出して長時間にわたり、
話をする人もいるくらいです。
アメリカの研究チームが心筋梗塞を起こした患者約370名の一年後の
生存率を調査したところ、ペットを飼ってる人の方が予後が良く、
生存率が高いことがわかりました。
また、茨城県における調査では、ペットを飼っている人は、
降圧剤を飲む割合が低いという結果も出ています。
血圧低下の要因の一つとしてはペットとの触れ合いでストレスが
軽減され気持ちが落ち着く、ということが考えられるという。
またペットとの情緒的一体感があると、「気分がすぐれない」とか
「落ち込んでいる」という抑うつ状態や孤独感を和らげるということが
分かっています。
情緒的一体感とは、ペットと一緒にいる時に感じる「ほっとする」
「気持ちが通じる」と言った感情のことです。
ペットと触れ合ったり、見つめ合うと「幸せホルモン」と呼ばれる
オキシトシンが脳内で分泌され、「ストレスホルモン」である
コルチゾールは抑制されるのです。
では、 ペットを飼うとなったらどんな動物がいいだろうか。
例えば犬 を飼うにしても様々な種類がある。
高齢者施設で重宝されるのはレトリバー種です。
温厚で万人に対しても心を開くので、高齢者も安心できる。
ただ大型犬ですので餌のコストがかかり、病院に連れて行くのも一苦労
で世話は大変です 。
運動量が少なく扱いやすい小型犬、例えばプードル種などが
飼いやすいでしょう。
健康長寿に効果のあるペットだが、命ある生き物であることは
言うまでもない。
一人暮らしの高齢者の場合、飼主が亡くなって、残されたペットが
保健所で処分されるという事例もある。
一方で、ペットロボットという選択肢もある。
現在、アニマルセラピーの分野で主流になっているのが、
いぬ型ロボットの「リッキー」だ。
【100通り以上の音とアクションでリアクションする、子犬のペットロボット】芸達者な子犬のリッキーは、
本物のわんちゃんのようにリアクションするペットロボットです。
認知症予防についても様々な効果を示す研究結果が出ています 。
今後、高齢化がますます進む中で、ペットは私たちの貴重な
助けになってくれるのだ。
*週間 文春の記事を参考にしました。
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